あと、裏町のまちづくりをどうしようかということで市もえらく困っていました。裏町は、昔はやはり遊郭とか、いろんな人たちが訪ねられた花街なのですけれども、それが最近どんどん落ち込んで、外国系の店がこのまちにいっぱい増えちゃって、町の雰囲気も悪くなって。このまちをどうしようということで、修景して、古いちょっと遊郭ぽいの建物は、こういうものは一応残していこうと。それから道は石畳にして、空いたところは駐車場にしてということでちょっと考えたのですね。お寺さんの参道ですね。ブロック塀だったところを、それと石畳で整理して。細い路地のほとんど建物は直せないんですけれども、こういう形にしたらどうかという提案をして、今石畳にかえようとしています。さらに空き地対策ですね。屋台村ですね、屋台村みたいな計画をテストケースでやってみようということで。ここに住む人は裏町を遊郭街とは言わないんですけ。ここは花柳界というのですね。そういう人たちがとても幅をきかせて、多いときには340人もいたというところなのです。花柳街の風情を残そうというようことで、地元の人たちが、この場所で計画しろと言われたんですね。これがその裏町の建物です。奥行きが30メーターで、とりあえず200坪ありました。その200坪を使ってちょっと計画しろと、屋台村を計画しろと言われたのですけれども、ここに古い建物があってこれは壊してもいいよということで、しかしよく見たら、味噌蔵なんですよ。これは意外に使えたんですね。ここに、公衆トイレと下に店舗を2つ、ここにお座敷を2つつくりまして、花町の門をつくって…ここまでで5,500万ですね、これ全部合わせて。最初は、これはみんな反対しました。「何故、こんなものをなぜ残すのだ」と。でもちょっとでも古いものが残っているときに、どのくらいそこに在るモノの力があるかということをきちんと量っておいた方がいいから、しかも新築するより、これを残した方が費用が3分の2程度で済んじゃうのです。 あと、ここに三弦稲荷というお稲荷様があります。これは当時の芸者さんたちが大事にしていたお稲荷さんを奉ってあったんですが、裏町にマンションが建っちゃって、そこにあったお稲荷さんが無くなるのが余りにも残念だということで、大工の棟梁がこれをとってあるという話を屋台村の工事中に聞いて、これはもう1回元に戻したのですよ。それが、入り口のところにあります、三弦稲荷なのです。昔、華やかなところだった処がものすごく落ち込んで、もう一度、人を持ってこようということで、建築がどうこういうようなところとだけでなくて、中身・ソフトがやっぱり大事だなと僕は思っています。