登録文化財制度は平成8年に出来たばかりの、文化庁の新しい制度です。一般的に文化財というと、寺とか神社とかいったものが文化財だと思っている場合が多く、身近にある家とか、自分が暮らしている家とか、そういうものが文化財であるという意識を持っている人は、まだまだ日本には少ないようです。 そういうものを残していこうということで出来上がった制度が、登録文化財制度です。ヨーロッパは、町が綺麗で歴史的なものがよく残っているという印象がありますが、「欧州は石の文化だから残るが、日本は木の文化だから残らない」と一般的には言われています。しかし、一般的な日本の感覚では、お城とか教会みたいなものが文化財だと思っているのですが、欧州では、木で出来ている普通の家が文化財になっていたりするようです。つまり、大事なところを残しているのであって、石であるかどうかは関係なく、また、古いものばかりが大切にされているわけでもなく、古いものも新しいものも歴史の中で、それぞれ風化しながら歴史を重ねながら評価されているようです。

この登録文化財制度は「登録」という言葉を使っていますが、一般的には「文化財に指定する」とう表現がよく使われます。「指定」というと、例えば大勢の方がいる中からひとりを指名するような、特別なものをピックアップするような意味になりますが、登録文化財は「登録」であり、名簿とか原簿をつけるという意味で、町の中にある歴史的文化的に意味がありそうなものの名簿を作って、御互いに共有しましょうという考え方でつくられた制度のようです。この制度も最も特長的なところは、外観を保持すれば内装は改装してもよいということです。また、「登録」という制度ですので、自己推薦で文化財にできるというメリットがあります。
ただ、残念ながら下諏訪町にはこの登録文化財が一件もありません。ちなみに隣町の岡谷市は18件の登録があり、そのほとんどが明治以降の近代の建物です。(実際に使用している岡谷の消防署も入っています)
また、補足的な話ではありますが、下諏訪町の文化財は町指定も含め61件ですが、岡谷市は145件です。歴史や町並みの在る町にしては、この数字の差は大変驚きであります。